<双葉>
んじゃつまり。 あんたが見たのは、ひょっとしたら流出したテスト問題“そのもの”かもしれないって事ね? |
<雅也>
ん〜。断言はできねぇけど多分そうじゃねーかなーって思う。 |
<聖司>
興味深い話ですね。その話を信じるとして。では、どこでそれを見たと? |
<雅也>
それは…… |
<聖司>
それは? |
<雅也>
………… ダチが見せてくれたんだよ。『こんなの拾った』とか言ってよ。ほら、そこにあるような……スマホって奴でさ。 |
<聖司>
スマホ……ですか。 |
<秋人>
(スマホ……ね) |
<雅也>
あ、ああ。 |
<優希>
誰だ。それを貴様に見せたのは、どこのどいつだ? |
<雅也>
そ……それは…… |
<優希>
どうした答えろ。誰に見せてもらったんだ? よもや…… 実は、自分で盗み出したにも関わらず、『友達に見せてもらったんだ〜』とかいう展開ではあるまいな? |
<雅也>
そ、そんなんじゃねーよ。 |
<優希>
では誰だ。答えろ。 |
<雅也>
それは……言えねぇ。 俺は…… 俺は義理に生きる男だ! ダチを売るわけにはいかねぇ! |
<双葉>
あんたのダチって、一人しかいないじゃん。てーと“立松”君ね。 |
<雅也>
うお!? しまった! |
<秋人>
(うむ。絶妙な馬鹿さ加減だ) |
<優希>
2年A組の『立松 賢治』か。まったく、あの秀才がどうしてこんな馬鹿とつるんでいるのか。私は甚だ理解に苦しむばかりだ。 |
<双葉>
んじゃ、立松君に直接…… |
<雅也>
むぁ! むぁってくぅれ! 牧、その携帯をしまってくれ! 俺の知っていることは、全部話す! だからあいつだけは! |
<双葉>
はぁ? だって、テスト問題持ってたかもしれないなら、直接聞いたほうが早いじゃん。 |
<雅也>
そこを何とか! |
<双葉>
ん〜。却下。 |
<雅也>
そんなぁ! |
<秋人>
まあ待て。とりあえず、話を聞いてからにしよーや。 |
<双葉>
何でよ? あんた、こいつの肩持つの? |
<秋人>
そうじゃねーよ。ただ、変にこじれて馬鹿がヘソを曲げたらどうする? 聞ける話も聞けなくなるかもしれないぜ? だったら。その何とかって秀才に電話するのは、聞ける情報を聞き出し、その上で“必要”と判断してからでも遅くはない。 だろ? |
<双葉>
それは、まあ。 |
<雅也>
牧のおにーさん! あんたは神様か!? |
<秋人>
そうだ。俺こそが神だ。へつらえ。 |
<雅也>
うぉぉぉぉ! 神々しすぎるぜ! だて男神だ! |
<秋人>
その名で呼ぶな。ぶっとばすぞ、こぞー。 |
<雅也>
ひえええええ!? |
<双葉>
じゃなくて。んじゃとりあえず、立松君に電話はしないから、知ってること教えてよ。 困ってんのよ、私たち。あんただって馬鹿なりに、人の役に立ちたいでしょ? |
<雅也>
困ってるって、あの牧双葉が? |
<双葉>
あの……ってのには引っかかるけど、まあそうよ。もっとも、困ってるのは私だけじゃなくて、どっちかって言うと…… |
<雅也>
泉……さん? 泉さんが困ってるのか? |
<まゆか>
は……はい。双葉ちゃん以外にも、皆さんにご迷惑をかけっぱなしで…… |
<雅也>
そうか。分かった。知ってること、全部話すぜ。 |
<双葉>
え? 何か対応、ちがくない? |